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特選映画

 

映画「ミッション・トゥ・マーズ」
〜火星探査が本格的にはじまった21世紀!〜

公開:2000年(米)
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本: ジム・トーマス
キャスト:ジム・マッコーネル(ゲイリー・シニーズ),
      ウッディ・ブレイク(ティム・ロビンス)、ルーク・グラハム(ドン・チードル)

  炭酸ガスが主成分で、薄い大気をもつ赤い星「火星」 。その火星に向けて、各国が競って宇宙に乗り出す時代が到来している!  
 エンターティメントでありながら、単なるSF映画ではすまない本作品は、現実のものとして捉えると非常におもしろい!映画の中で登場する宇宙船や宇宙服はすべてNASAで実際にデザイン中のものか、すでに承認されたものであるという。

 



推薦者:鳴戸 浩


■1 盛り上がる火星探査のムード!

 
デ・パルマ監督の評判もさることながら、現実の問題としてはアメリカでおこなわれている火星探査の機運が大きく影響している作品であった。
  この春、NASAはマーズ・サーベイヤー・2001・オービター(MS01L)を打ち上げ、その後も2003年にMS03L、そして2005年にMSRと打ち上げ予定を計画している。昨年2000年3月には火星疑似大気から酸素を生成するのにも成功している。そんな時代の潮流を受けて、火星探査ミッションの熱気がひしひしと伝わってくる今回の映画であった。
  主人公役のゲイリー・シニーズが、数千万キロの旅をして手ぶらで帰れないとわざわざ危険をおかして火星探査ならぬ火星‘探検’に出かけている場面などは、莫大な経費をかけ、多くの人の期待を背負って飛び立つ宇宙飛行士の一人にでもならなければ感じることのできないおもいであろう。ちなみに、ゲイリー・シニーズは『アポロ13』では、月探査にいくことができなかった役回りであったが、今回は大抜擢を受けて火星に向かうことができた。




■2 数年来続いた火星人問題が‥‥

 アメリカの国をあげての宇宙事業も手伝って、最近のSF映画は昔に比べ、ある意味で本当にまじめにつくられるようになった。
 1969年に人類が月面に立つ前までは、50年代60年代と毎年のように火星人がやってきた(もちろん、映画の中でのこと)。しかし、フィクションであった宇宙時代が現実のものと認識されるや、そのような火星人来襲の話があっという間に消えうせ、70年代になるとSFも実にシリアスな名作を生むようになっていった。アンドレイ・タルコフスキーの「惑星ソラリス」(72年ソ)、「スター・ウォーズ」(77年米)、「未知との遭遇」(77年米)、「エイリアン」(79米)など、みな70年代の作品なのだ。  
 その中で火星映画としては、「カプリコン1」がこの年代の特筆すべき作品であろう。




■3 宇宙の危険を感じることができた!

 今回の「ミッション・トゥ・マーズ」では、前半主人公のジム(ゲイリー・シニーズ)を乗せたマーズ2号が火星へと飛び立つ。そして出発から178日後、マーズ2号は火星の周回軌道に到着したが、いよいよ火星着陸という瞬間、隕石群により船体に亀裂が生じ、燃料ラインは致命的な損傷を負ってしまうのである。宇宙船から4人が脱出し宇宙空間をさまようのだが、この場面では空気もなく、水もなく、食料もない状況での人間という存在がどれほど頼りないものかをしみじみ感じることができた。いざ、過酷な宇宙空間に飛び出しても、隕石などがよく飛んでくるし、そのようなものにぶち当たればひとたまりもないのである。空気があること、水があること、食料があることに素直に感謝することができた。大宇宙の途方もない空間で生きている生命にとって,本当に地球に住んでいるということが自由でいられることの条件であるのだ。この稀有なる生存条件こそ私たち人間に対する大宇宙の恵みであると言っていいだろう。



■4 21世紀から本格的な宇宙時代がはじまる

 しかし、この21世紀からは生存条件が整ったこの地球から、数多くの人が宇宙に飛び出していく。
  その様な意味から20世紀よりも、21世紀こそが宇宙時代のはじまりであると思う。それは人類の冒険心の証であると同時に、また人口問題や環境問題によって人々が押し出されていく姿でもあると思うのだ。今後100億人に向けてどのくらいの歳月で増えていくのだろうか?そのストレスによる口減らしのための戦争という悲劇を起こさないためにも、月と火星への植民都市計画は遂行されなければならない。生命探査の直接的なアプローチは2003年のマーズ2003ランダーの打ち上げからというが、現実の問題としては、生命探査よりは人口増加のはけ口を月と火星に求めていくのが21世紀以降の人類の姿であると思える。
 現在(2001年1月現在)も「レッド・プラネット」が上映されているが、いまや映画も火星探査のキャンペーンに使われる時代である。昔から映画と火星についてはSF映画の中でもウエルズの「宇宙戦争」以来縁が深いのである。映画の中で描かれているように火星に高等生物がいるかどうかはわからないが、微生物レベルの火星生命がいてもおかしくはないだろう。それにしても火星探査が真摯なものになるにつれ、映画のシナリオも具体的な内容になってきている。現実の宇宙開発と映画の内容は連動している。



■5 その時、日本は‥‥

 この辺、宇宙開発についていま一つ本腰を入れることができない日本人としては、自力で、あるいはリーダーシップを取って月なり火星なりで宇宙開発の成果をあげたいところである。日本としてもリーダシップがとれるだけの実力はあると聞いている。
 現在、日本でも「のぞみ」が火星を目指して跳んでいる。1998年7月4日に、内之浦の鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられたPLANET-B計画の主な目的は、火星の上層大気を太陽風との相互作用に重点をおいて研究することであるという。現在「のぞみ」は太陽中心軌道をまわっており、2004年1月には到着する予定だ。
  ロケ
ト開発も進んでいるようだし、新しい基幹産業としては宇宙開発はうってつけなのである。
 宇宙時代がはじまり、その最初の100年において日本人の果たしていく課題と期待は大きい。





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